オフィシャルレポート九州編

13:45 広がる水平線に抱かれながらのランチで贅沢なひととき。

部屋に入ってすぐに、目の前に飛び込んでくるのは、地球が丸く見えるほど、どこまでも広がる水平線。実際宮崎に住んでいても、この高さから海を見ることはそうそうない。実に貴重な眺めである。

しばらく二人で景色を楽しんでいると、ワゴンで食事が運ばれてきた。
「美味しそ~!いただきます!」並んだ宮崎産牛と鯛を目の前に、子供のように喜ぶ陽子。「そういえば、お前は小さいときから食いしん坊だったが、いまだかわらんな。」「え?何か言った?」「すでに、聞こえとらんのか…。」まったくもって子供のままだ。楽しい時間はあっという間に過ぎ、昔話に花が咲き続ける。

すると、すこしだけまじめな顔で、まっすぐに私を見ながら陽子が言った。
「わたし、将来は茂くんと宮崎へ引っ越そうと思うの。」え?なんだって?「ほら、わたし一人っ子だし、茂くん3人兄弟の末っ子でしょう。だからお父さんとお母さんのそばにいたほうがいいって、茂くんが言ってくれてるの。」思いもかけない言葉にわたしは息が詰まった。「お父さんだって、孫の顔しょっちゅう見たいでしょう?」だめだ、もうこれ以上言うな。「東京の大学に行かせてくれて、就職する時もわがままきいてくれた恩返しだよ。」・・・わたしの負けだ。完敗だ。

目頭が熱い。部屋での食事にしておいて本当によかった。あやうく人前で泣いてしまうところだったな。「陽子。ありがとう。お父さんとお母さんはまだまだ大丈夫だから、ゆっくり茂くんと二人で考えなさい。」

15:00 開放感溢れるカクテルバー「パシフィカ」でドリンク

1F吹き抜けのラウンジで、ジュースを飲みながらゆっくりとした時間を過ごす。「水・花・緑」そして「和と洋」の要素をふんだんに取り入れた空間は居心地がいい。

陽子は楽しそうに結婚式の準備について語っている。おまえが生まれなかったら、こんな幸せな気分も味わうことができなかったんだな。ありがとう。「幸せになれよ。」陽子に聞こえるか聞こえないかの声が、口から自然と漏れた。

16:00 「お菓子の日高」でお母さんにお土産

宮崎市街にある自宅に向かって車を走らせている途中、「ねぇ、おかあさんにお土産買って帰ろ。」とお菓子の日高を指さす。そういえば、妻の清子も陽子もここの“なんじゃこら大福”が好きだったな。心がゆたかになる、幸せを呼ぶ大福だそうだ。

栗もいちごもクリームチーズもあんこも、全部入っているこの大福は、我が家の欲張りな女性陣には高い支持を得ている。日高の店内にはおせんべいから、クッキー、ケーキなどの洋菓子までいろいろな種類のお菓子がそろっていて目移りしてしまう。
なんじゃこら大福をお土産に買って、再び自宅へと向かう。

こうして、陽子とふたりきりで過ごすことは、もうこの先無いのかと思うと寂しさも募る。どこかで渋滞していないかと期待してカーナビを見るが、悲しいかな大した渋滞も無さそうだ。表示を見ると道路工事はしているようだが、自宅へ続く道とは全く違う方向だ。あきらめて、まっすぐ帰ることとしよう。
あぁ、わたしの人生も、この先渋滞なく、順風満帆に行けそうである。

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