オフィシャルレポート関西編

いよいよ神戸へとクルマを向けることにした。神戸といえば、世界的にも有名な1000万ドルともいわれる夜景を楽しみたい。一旦、六甲山ロープウェイの展望台駅を目的地にして進んでみた。快調に飛ばしていたが、旅の行程などは私に任せ切りなはずの妻が隣から提案してくる。
「夜景は確かに見たいけど、最終目的地のルミナリエで過ごす時間が短くなりそうだわね」「うん、確かにそうだな。じゃあ、道中でちょっとだけ夜景は楽しんで、神戸の街を目指すとするか」道路を引き返すついでに夜景の写真を撮って、神戸市内へと向かう。
1度決めたらとことん突っ走ってきた私に対し、いつも優しく見守り、時にはやんわりと軌道修正をオファーしてくれた。これまでの我々夫婦の人生を端的に表してくれたような気がした。

ルミナリエは、2014年は12月4日〜15日の12日間だけの開催。短期間ゆえに、カーナビではルミナリエと検索するのはムリだろう。一旦、神戸三宮駅を目的地にして進んだ。駐車場にクルマを停めて歩いてルミナリエ会場に向かうことにした。会場付近は道路の規制がかなり入っているのは予想していた。
案の定、カーナビ画面には、VICS情報により臨時の進入禁止、車線規制などがそこここに見られる。知らずに行ってもVICSがあれば安心だ。
道路の規制をうまく避け、次は駐車場探しだ。会場付近では駐車場待ちの列や、明らかに駐車場を探しているクルマがうろうろしている。
駐車場情報も、カーナビの周辺検索を使ってかなり最寄りの駐車場を見つけ出すことができた。

ルミナリエは2014年で20回目を向かえた。あの大震災が1995年1月に起き、その年の12月が第1回となって続いている。そう、早いものであの大震災から20年の歳月が過ぎ去ったことになる。
20年で色んなことがあったはずである。しかし、ルミナリエはしっかりと神戸市民のなくてはならないものとして続いてきたのだ。

ルミナリエの開催趣旨は、

(1)阪神・淡路大震災の犠牲者への鎮魂と都市の復興・再生への夢と希望を託すとともに、様々な自然災害による被災地域との絆交流を深め、大震災の記憶を永く後世に語り継いで行く行事として開催します。

(2)神戸の冬の集客観光促進事業の柱として、行事開催を通じた神戸地域への集客と経済波及効果を期して開催します。

とされている。
(神戸ルミナリエ:http://www.kobe-luminarie.jp/ )

犠牲者への鎮魂と復興祈願がその大きな趣旨だろう。華やかなイルミネーションは心躍らせるものがあるはずだが、20年前を実際には知らない若者も含め、ただのお祭り騒ぎでない雰囲気はある意味独特だ。どこの街にもあるクリスマスイルミネーションとは違っている。むしろ、落ち着いて、厳かに感じられ、凛とした気持ち良ささえ漂う。まさに礼拝しているような気分にさせてくれる。

ルミナリエはあれだけの大震災の被害がありながら、1年以内に開催できたというわけだ。先述の宝塚歌劇が戦後1年には復活しているのと、なにか重なるものが頭をよぎった。
人は大変なことがあっても生きていくためには乗り越えなければならないものがある。けれど多くの困難は一人で乗り越えるものではない。誰かしらの協力者が必ず現れるものである。 40年以上も夫婦を続けて来られたのも、妻が助けてくれたことはとても大きい。それはわかっていても、なかなか口にすることは照れてできない。ルミナリエの雑踏の中、私は妻に小声で「ありがとう」とつぶやいた。

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