VOICE メディアの声

実生活でこんなに助かる便利なVICS

道路交通情報をカーナビに届ける「VICS(Vehicle Information and Communication System)」。
実際のシチュエーションでどんな恩恵があるのだろうか?
近距離のレジャードライブを想定して実際に使ってみた。これを読めばあなたもVICSマスターだ!
●文:まるも亜希子 ●写真:奥隅圭之

まだ見えない前方の道路状況を
事前に把握して走行できる

運転していると、時おりナビ画面に現れる渋滞や工事、車線規制の案内など。まさにこれから通過しようという道路状況が、時にはリアルな画像付きで表示され、心構えができてとても助かっている。実はこれらが、カーナビを使う私たちが知らず知らずにお世話になっている、道路交通情報通信システム「VICS」。
日本道路交通情報センターに、様々な機関から集まった情報がVICSセンターで処理・編集され、FM多重放送でカーナビに送信されている。最も気になるのは渋滞や通行止めなどだが、近ごろはゲリラ豪雨などの大雨、津波や火山など特別警報などがVICS WIDEとしての情報提供も加わり、より安心なドライブができるよう、情報の範囲も精度も上がっている。

今回は、そんなVICSの機能を改めて体感すべく、都心から木更津までドライブしてみた。
まずは目的地を設定すると、画面には道路に沿って所々に赤やオレンジ色の線が引かれている。これが渋滞および混雑している区間を示すもので、線の長さでどこまで続くのかも一目瞭然だ。そしてもう1つ、同じ色で点線が表示されており※、
これは実際に走っている車両から吸い上げたプローブ情報を反映したもの。よりリアルな渋滞情報がわかるようになっているのだ。
また、首都高速に入ってすぐのタイミングで、通過する区間に黄色い工事マークが表示された。他にも様々な交通障害を示すマークがあり、これならもし渋滞していても、その原因が事故なのか故障車なのか、工事や障害物なのかがすぐわかり、状況不明でイライラすることもないだろう。順調に走行し高速道路を降り、目的地が近づくと、駐車場のマークは青色に表示されている。これは空車を示す色で、満車なら赤、混雑ならオレンジ色と、ひと目で確認できるのがありがたい。SA/PAの場合には施設案内も表示され※、さらに便利だ。

この日の帰路は目立った渋滞もなくてひと安心。所用時間などもわかるので、出発前に確認すると状況が把握でき、効率よくドライブできるはずだ。運転前の準備にも、運転中の「知りたい」にも即座に応えてくれるVICSは、私たちの安全と快適を支える縁の下の力持ち。今後はもっと積極的に活用したいと実感したのだった。

※カーナビの機種によって表示が異なります。

走行中に道路工事が行われていても事前に分かる!

突然の渋滞も余裕を持って把握できるから
安全!

VICSの真骨頂が渋滞情報だ。地図上の道路や高速道路表示の中に混雑を橙色、渋滞を赤色で表示。カーナビ画面に目立つように表示され、前もって頭に入れることが出来るので安全運転が行える。

PA(パーキングエリア)や一般駐車場の
満空情報が表示される!

一般駐車場や高速道路のPA(パーキングエリア)駐車場の満空情報の表示も行える。空車の場合が青、満車の場合は赤とわかりやすい。

VICS WIDEはプローブ情報の活用で
更に高精度な情報提供が可能となる!

渋滞の有無やその原因など、目的地までの快適なカーライフに役立つVICS WIDE。現在、タクシーなどのリアルタイム情報を活用するプローブ情報に注目が集まっている。刻々と変わっていく交通状況を提供し、より精度の高い渋滞情報の提供が可能となっている。ここでは一例を紹介していこう。

プローブ情報に基づいた
目的地案内で旅行時間を短縮!

VICS WIDEのプローブ情報(タクシーなどのリアルタイム走行情報)やカーナビ独自の予測情報を組み合わせ最短の旅行時間でルート検索を行うことができる。下記カコミにある実証実験では、このプローブ情報がさらに充実し、精度の高いルート検索を行えるようになる。

精度の高い渋滞回避や気象情報などが提供されるVICS WIDE!

A地点からB地点に移動する複数のルートのそれぞれにかかる旅行時間がわかるようになり、より精度の高い渋滞回避ルートガイダンスが可能に。

気象・津波・火山噴火などの特別警報をポップアップで表示(地震を除く)。

車両感知器の存在しない道路区間でもプローブ情報によるルート案内が可能になった。刻々と変化する交通状況の中でも最適なルート探索が可能だ。

複数事業者のプローブ情報を活用した
道路交通情報サービスの実証実験

今回紹介してきたVICS情報に、道路を走るクルマの位置などのデータである「プローブ情報」を加え、さらに精度を上げる実証実験が2020年4月から9月(予定)まで関東1都6県で実施される。
プローブ情報は、すでにタクシーのデータが情報に組み込まれているが、自動車メーカーやカーナビメーカーの独自プローブ情報も組み込まれ、ひとつのビッグデータとしてユーザーに提供するという実験だ。今まで交通情報が提供されてこなかった道路にもプローブ情報から生成した交通情報がVICS対応カーナビに提供され、渋滞ストレスだけでなく、CO2の大幅削減も期待されている。
特に事前登録なしで、カーナビがVICSに対応していれば関東1都6県を走行中に情報が配信されるというから楽しみだ!